道具にも差がある!習字に使う紙について詳しくご紹介

習字を上手く書けるかどうか、というのは習字の腕前や練習量だけでは決まりません。じつは道具の差が、上手さに直結する場合もあるのです。

 

選ぶ道具の差が上手さに結びつくなら、道具の差を知らなければなりません。そして道具の差を知るためには、その道具のことをよく知っておく必要があります。

 

今日は習字に使う紙について見ていくことで、紙の違いや差を学びましょう。

 

1.紙にはいろいろな種類がある

習字に書くのに必要な道具というといろいろなものがあります。筆・硯・墨汁などと同じで欠かせないものが、「紙」です。習字に使う紙というと真っ白なB4サイズほどの紙を思い浮かべる方も多いでしょうが、じつは紙にもいろいろ種類があるのをご存じですか?最初に習字で使う紙について、どのような種類があるのかを見ていきます。

 

1-1.習字に使う紙のすべてが「半紙」ではない

習字において「半紙」という紙の名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?そのため「習字に使われる紙はすべて半紙である」というイメージを持っている方も多いでしょう。ですが、じつは習字に使う紙は半紙だけではないのです。

 

1-2.半紙とはどういったものか?

最初に半紙の定義から見ていきましょう。半紙というのは習字用の白い紙で、サイズは横24.3cm、縦が33.3cmと決められています。

 

B4サイズの紙よりも一回り小さくなっており、和紙の規格で定められているサイズではありますが、岐阜県美濃地方で作られる半紙は、それよりも多少大きなサイズです。半紙という名前は、次で紹介する「全紙」を半分にしたサイズであることからこのように呼ばれています。

 

2.書道で使われるその他の紙

では、半紙以外に書道で使われる紙にどのようなものがあるのかを見ていきます。

 

2-1.全紙

全紙とは用紙規格における最大サイズの紙です。サイズは横69.5cm、縦136 cmとなっています。

 

2-2.半切

横が34.5 cmで縦が136 cmとなっている縦長の紙です。書き初めなどによく使用されます。

 

2-3.短冊

6 cm×36.3 cmという小さめの紙です。一般的に歌を書くのに使用されます。

 

3.紙のその他の特徴

紙にはサイズ以外にも特徴があります。その特徴のひとつが「素材」で、紙の素材を大きく分けると「唐紙」と「和紙」に分けられます。

 

中国製の原料で作られた紙のことを唐紙といいます。唐紙は竹や藁、そして竹などを主原料としています。唐紙にも種類があるのですが、中国の安徽省で生産された紙のことを「宣紙」と呼びます。

 

唐紙は和紙と比較して破れやすいといった特徴があります。破れやすいということは紙に柔軟性があり墨が浸透しやすくなっていますが、その分習字の表現方法のひとつである「滲み」や「かすれ」が出やすいでしょう。そのため、表現力に長けた文字を書きたい場合に使用するのがよいでしょう。

 

一方和紙は、国産の原料を主に使って作られています。主原料として使用されているのは三俣や麻、楮、そして雁皮などです。和紙は唐紙と比べて繊維が長いため、破れにくいという特徴があります。比較的唐紙よりも厚みがあるため、滲みが少なくきれいでシャープな文字を書くのに適しています。

 

3-1.漉き方による違い

紙を作る時の漉き方には「手漉き」と「機械漉き」があります。

 

手漉きというのはその名の通り一枚ずつ手で漉いて作られます。そのため、仕上がりのサイズには限度があるかもしれません。手漉きの紙は書いた時に滲みやかすれが出やすくなっているので、表現豊かな文字を書きたい場合に使用すると良いでしょう。

 

一方、機械漉きの紙は、ロール状の長い紙を作りだすことが出来、それを機械で必要な大きさにカットしていくので、大量生産が可能となっています。滲み・かすみといったものが出にくいため、シャープな文字が書きたい場合におすすめ。初心者でも書きやすいものとなっています。

 

ただし最近は、機械漉き・手漉きともに製造工程で滲みやすさを調整することが可能となっています。そのため漉き方だけを見て使う紙を決めずに、実際に書いてみて書きやすさを比べると良いでしょう。

 

3-2.紙の厚みによる違い

唐紙と和紙の違いでも説明しましたが、紙は厚みにも違いがあります。厚い紙に書くと滲みやかすれが出にくく、厚くない紙を使う場合は滲みやかすれが出やすくなるでしょう。習字を習い始めたばかりの人は厚めの紙を、習字経験豊かで表現に富んだ文字を書きたい人は厚くない紙を使用します。書きやすさや好みが分かれるので、いろいろな紙で試し書きしてみて、これという一枚を見つけると良いでしょう。

 

4.紙には表・裏がある

習字初心者の人によくある失敗として、紙の裏側に文字を書いてしまうというのがあります。パッと見では両側が同じように見えますが、じつは表・裏があるのです。

 

見分け方は「手触り」です。触ってみてツルツルとした方が表、ざらざらとしている方が裏になります。紙を漉く時に漉く方向により表裏が出来るため、そのような違いが発生するでしょう。

 

手漉きの紙の場合のみ、見た目でも表裏を判断する方法があります。手漉きの紙は製造工程で裏面を刷毛で撫でるため、刷毛目と呼ばれる跡が残るのです。すなわち刷毛目がある方が裏面となります。

 

5.紙には上下がある場合も

紙には表裏だけでなく、上下がある場合もあります。習字で使用する紙には柄が入っているものもあり、歌を書くために使う短冊が代表的なものになります。柄があるかどうかで上下が判断しましょう。

 

柄が紙全体に満遍なく入っている場合は、上下をひっくり返してみると柄の向きが分かりやすくなります。ただし上下を気にせず使えるような連続模様が入っている場合は、どちらを上にしても構いません。

 

6.まとめ

習字を書くのに必須の道具である「紙」。じつはいろいろな種類のものが存在しています。まずは紙のサイズによる違い。一般的に習字で使われる半紙だけでなく、半紙二枚分の全紙や半切り、短冊などといったサイズのものがあります。

 

それ以外にも、素材・厚み・漉き方などに違いがあります。それぞれで滲みやかすれ具合に差がありますが、実際に書いてみて好みの紙を使うようにしましょう。紙には裏表や上下ある場合もあり、それぞれを判断するポイントもあるので、間違えて使わないように気を付けましょう。

 

オンライン書道教室の「書香」では、習字に使う紙についての知識だけでなく、筆や墨に関する知識もお教えいたします。習字に興味を持っている方、習ってみたい方は、ぜひお気軽にお問合せください。​