習字の歴史を知ってもっと習字に親しもう!詳しく解説

学校の授業でも行われる習字ですが、筆と墨汁で半紙に字を書く経験はどなたにも一度あるのではないでしょうか。それでも大人になってから習字をされる方はあまり多くないものです。スマホやパソコンの普及もあり、手書きで文字を書く機会も減ってきています。

 

しかしそんな時代だからこそ、習字・書道をする行為には大きな意味があるのではないでしょうか。

 

今回は習字の歴史や漢字の成り立ちについて説明し、習字のもつ面白さに迫りたいと思います。

 

1.習字とは?

習字とは文字通り、字を習うことを指し、字の正しい書き方や美しい字の書き方を習うものでした。

 

書道または書とは、毛筆と呼ばれる筆記用具と墨を使って文字を書き、その美しさを表わそうとしたり、文字や書体を通して自分の思いを伝えたりする表現方法の一つです。

 

そもそもの習字は書道を嗜む前の、前段階として行われるものでした。習字で正しい字・美しい字の書き方を学び、書道で自己表現や芸術作品を作り出すための土台を築く、というようなイメージでしょうか。

 

ただ、学校の授業に習字が取り入れられていることからもわかるよう、正しい字・美しい字の書き方を学ぶことそのものが習字の目的として一般的な認識されています。

 

2.漢字の成り立ち

ここで、漢字の成り立ちについて説明しておきます。

 

漢字の起源といわれているのは、約3300年前の中国で生まれた亀甲文字です。亀の甲羅や動物の骨に刻まれていることからこの名称が付けられました。亀甲文字は亀の甲羅や動物の骨を使う占いに結びついて生まれた文字だといわれています。

 

亀甲文字の後に生まれたのが金文と呼ばれている文字です。金文とは青銅器の表面に刻まれた文字で、殷の末期から三国時代まで使われていたとされています。

 

亀甲文字と金文から生まれたのが、「篆書(てんしょ)」と呼ばれる書体です。4世紀後半ごろに日本に伝わった漢字は、この篆書でした。この時代の古墳からは、篆書の「貨泉」という文字が記された銅貨などが出土しています。

 

篆書とは、垂直・水平・左右対称が特徴の、バランスのよい書体です。ただ、初めて篆書が漢字として伝わった時期の日本では、現在のように、文字として認識されて使用されていたわけではないようです。なにかの模様のように見えていただけなのではないか、と考えられています。

 

篆書は線が細やかで、書くのに時間がかかりました。そのため秦の役人が業務の効率を上げるために、篆書を簡略化するようになったのです。このようにして誕生したのが、「隷書(れいしょ)」になります。この隷書を速書きしている段階で生まれたのが「草書」、隷書がより直線的になったものが「楷書」、隷書と草書の長所を生かした書体として生まれたのが「行書」です。

 

書道では、この「篆書」「隷書」「草書」「楷書」「行書」の5つの書体、そしてかな文字が用いられます。

 

3.書道の歴史

習字の歴史はそのまま書道の歴史につながります。日本の書道の起源は、中国から日本に漢字が伝来したのがきっかけになりました。日本に漢字が伝来したのは4世紀後半、弥生時代の頃だと考えられています。

 

その後に飛鳥時代に仏教が伝来すると、日本でも写経が盛んに行われるようになりました。写経とは仏教の経典を書き写すことです。もともとは中国から伝わった教典を広く伝えるため、現代でいえばコピー、もしくはシェアして拡散するために行われていました。しかしその後紙漉や墨の文化も伝わり、写経が火付け役となり、書道が本格的になり始めたのです。

 

奈良時代になると日本で最も古い歴史書といわれている『日本書紀』が記されました。日本書紀では漢字を音によって表現する「万葉仮名」と呼ばれる日本独特の表記法が使われました。この万葉仮名がのちの仮名文字の誕生へとつながっていきます。

 

平安時代のはじめごろには、字の美しい能筆家として、嵯峨天皇・空海・橘逸勢(たちばなのはやなり)の3人の名が「三筆(さんひつ)」として残っています。

 

平安時代の中期には日本らしい文化のスタイルとして、「国風文化」が盛り上がりを見せました。日本独特の文化が重要視されるようになり、それまでにない柔らかい書体が主流となっていったのです。ひらがなが生まれたのもこの時期です。

 

またこの時期には、小野道風(おののみちかぜ)・藤原佐理(ふじわらのすけまさ)・藤原行成(ふじわらのゆきまさ)の3人が「三蹟」と呼ばれ、能筆家として名前を残しています。この頃に、書道が芸術として確立されてきたのです。

 

その後、鎌倉時代には漢字とひらがなの混じった表記が見られるようになり、室町時代には書道に流派も生まれます。また、詫び茶(茶道)の流行とともに、床の間に書を飾って鑑賞する文化も生まれました。

 

さらにその後、貴族や武士を中心に書道は教養や自己修養として重要なものとなり、江戸時代には庶民の間にも広く伝わるように。そして現在の習字にまでつながる流れとなったのです。

 

4.まとめ

習字の歴史についておわかりいただけたのではないでしょうか?

 

習字は生活に直結する、非常に実用的な習い事です。年賀状や履歴書、祝儀袋やのし袋など、きれいな字を書けることは生涯役に立つ技術です。またスマホやパソコンが当たり前の時代であるからこそ、手書き文字の価値はこれまで以上に上がってくると考えられるでしょう。

 

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