ご祝儀袋を書くときは筆ペンで正しく美しく!書き方を詳しくご紹介

結婚や出産、就職、入学など、お祝いごとに欠かせないのがご祝儀です。そのご祝儀を包むご祝儀袋の書き方には、知っておきたいいくつかの作法があります。作法をふまえ、おめでとうの気持ちを美しい筆文字で届けてみませんか。

 

ここではご祝儀袋の基本的な書き方と、筆ペンを中心とした筆記用具の選びかたをご紹介します。

 

1.ご祝儀袋は書き位置がポイント

ご祝儀袋は、水引がかかっている外側の上包みと、そのなかに入っている封筒状の中袋または半紙を折った中包みがセットになっています。

 

この中包み(中袋)に新札を入れ上包みで包むのですが、ご祝儀袋には名目、贈り主の名前、住所、金額など書く位置が決まっています。

 

以下では上包みと中包み(中袋)に書きいれる内容とその位置をご紹介していきましょう。

 

1-1.上包みには名目と贈り主の名前を書く

上包みに書くのは表面のみで、名目と贈り主の名前を入れます。名目は中央の上部にやや大きめの文字で、結婚なら「御結婚御祝」入学なら「御入学御祝」と書きます。ただし結婚の場合、結婚式前に渡すのであれば「御結婚御祝」ですが、披露宴に出席する場合は「寿」としましょう。

 

水引の下半分には贈り主の名前をフルネームで書きます。名前の大きさは名目よりひとまわり小さくするとバランスよく収まるでしょう。ご祝儀袋には短冊が付属していることも多いものですが、無地であれば短冊に名目と贈り主の名前を書きます。名目が印刷されている場合はそのまま利用してもよいでしょう。贈り主が1名ではなく連名の場合、書く位置と順番に気をつけましょう。

 

家族で贈る場合は、世帯主の名前を中央にフルネームで入れます。妻は世帯主の左側に、子供はそのさらに左側に、地位と年齢順に下の名前だけを書き入れます。

 

家族ではなく、友人や職場の仲間で連名にする場合は全員フルネームで書きますが、レイアウトはセンター合わせでよいでしょう。ただし個人名を入れるのは家族でも友人同士でも3名までとします。人数が多い場合は世帯主や代表者名の左下にやや小さく家族の場合は「外家族一同」、その他の場合は「外一同」としましょう。

 

もし人数が多くても全員の名前を入れたい場合は、上包みには書かず別紙にそれぞれの名前(友人の場合は住所も)を書き、ご祝儀袋の中に入れておきます。

 

会社や団体として贈る場合は「株式会社〇〇」、「〇〇合唱団一同」というように書きます。個人でも会社名や団体名を入れたい場合は、個人名の右横に小さく入れるとよいでしょう。

 

1-2.中包み(中袋)の金額は旧漢数字で

中包み(中袋)の表面にはご祝儀の金額を縦書きで入れます。このとき数字はできるだけ旧漢数字を用い、数字の上に少しあけて「金」の文字を入れます。たとえば1万円なら、金 壱萬円、3万円なら金 参萬円という具合です。

 

また「金 萬円也」というように最後に也の文字をつけることもありますが、それは通常10万円以上の高額な場合で、それ以下の金額ならあえてつける必要はないでしょう。

 

1-3.中包み(中袋)の裏面には住所も書く

中包み(中袋)の裏面には、左下に贈り主の名前と住所を書きます。名前は上包みにも書いてありますが、中包みにも書く理由は上包みを外したときだれから贈られたご祝儀かわからなくなるのを防ぐためです。

 

また住所はご祝儀を受け取った側が、内祝いの品やお礼状を確実に送るために必要なのでぜひ書いておきましょう。

 

2.筆文字の力で心を届ける

最近はご祝儀袋の表書きをパソコンで印刷する人も増えています。たしかにパソコンは手書きが苦手な人にとっては便利なツールです。

 

しかし心からお祝いしたいという誠実な気持ちを伝えるには、やはり手書きが一番です。では心のこもった手書きにはどのような筆記用具を用い、どのような点に気をつけて書けばよいのでしょうか。

 

2-1.表書きは筆か毛筆タイプの筆ペンで

まず上包みの表書きですが、品格を重んじれば墨を擦って筆で書くことをおすすめします。筆は筆圧によって太い線、細い線、かすれ、濃淡など自由に表現できます。

 

しかし使い慣れない人にはやや扱いづらく、墨、硯などの道具を揃えなければならないことや準備や後片づけが必要というデメリットもあるのです。

 

それに対して筆ペンは、手軽さと扱いやすさが魅力です。筆ペンには毛筆タイプと硬筆タイプがありますが、表書きを書くには自由度の高い毛筆タイプがおすすめとなっています。毛は化学繊維で作られているため毛先がまとまりやすく、力の入れ方次第で太さの変化や強弱もつけられるのです。

 

もち方は筆のように立ててもちます。ペンのように寝かせてしまうとせっかくのもち味である強弱がつけにくく、単調な表現になってしまいます。

 

2-2.小さな文字は硬筆タイプの筆ペンがおすすめ

一方硬筆タイプの筆ペンは芯先がやや硬く、サインペン感覚で細い線も均一に描けるため、裏面の住所など小さな文字を書くのにピッタリです。中包み(中袋)の表面に書く金額は、やや大きめのサイズですが、あまり仰々しく太い筆で書くより、裏面とあわせて硬筆タイプを使う方が奥ゆかしくスッキリ見えます。

 

2-3.濃墨ではっきりわかりやすく書く

お通夜の香典袋は〈涙で墨も薄まる〉〈急いで駆けつけたので濃い墨をすれなかった〉という意味で薄墨を使うのが通例です。しかし結婚など慶事では、真っ黒な濃墨ではっきり書きます。筆ペンは薄墨のものもありますので、ご祝儀袋に間違って使わないように注意しましょう。

 

書体については楷書ではっきりわかりやすく書きます。筆や筆ペンは使い慣れないと難しく感じるかもしれませんが、美しい文字は落ち着いて心を込めて書くことから生まれます。事前にご祝儀袋と同じサイズの紙で練習をして、文字のバランスや余白のとりかたをつかんでおくと安心でしょう。

 

3.まとめ

ご祝儀袋は年々カラフルになり、水引もさまざまなアレンジを加えた華やかなものが増えてきました。そうしたなかでも手書きの筆文字は、どんな装飾にも負けない品位と美しさがあります。おめでとうの気持ちをいっそう盛りあげ、自信をもってご祝儀袋を渡せるような美しい文字が書けたらどんなにすてきでしょう。

 

オンライン書道の「書香」は、動画添削付き通信講座の書道教室です。自分の字に自信がない方も、小さなお子様がいて書道教室に通えない方も、書香なら自宅にいながら気軽に書道を学べます。ただいまWeb生徒さん募集中です。ぜひともお気軽にお問い合わせください。​